【タロットと色彩|Vol.3】青×星〜希望の水と魂の光をまとう者〜

〜希望の水と魂の光をまとう者〜

こんにちは、タロッティストの小鳥遊です。

今回の【色とタロット】では、「青」と深く結びついたもう一枚の大アルカナ——『星』のカードを取り上げます。

前回の「女教皇」では、沈黙と内省を象徴する青についてご紹介しました。今回登場する『星』もまた青をまとうカードです。
しかしその青は、“静かに閉じる”ためのものではなく、“静かに開いていく”ためのもの。
そう、未来へと希望をたぐり寄せるための、やわらかな光を放つ青なのです。

青が導く「希望」の本質——霊性と再生の色

『星』のカードに描かれているのは、夜空に光る八芒星と、その周囲を囲む七つの星。
そして、その星々の下で、両手に水差しを持った裸の女性が、地と水へ静かに水を注いでいます。
水面にひざまずきながら、一方の足は水に、もう一方は大地に触れている——彼女はまさに、天と地、魂と肉体、目に見えるものと見えないものの間に立つ存在です。

このカードの青は、夜空の色であり、水の色であり、そして私たちの「心の奥」にある静けさそのもの。水に宿る象徴は“浄化”であり、“生命”であり、“希望”でもあります。

ウェイト博士はこの水を「生命の水」と呼びました。
この命の水は、ただ喉を潤すものではなく、魂を潤し、心を清め、傷ついた心にそっと染み込むもの。
だからこそ、このカードの青は、“未来に向かって再生していく魂の色”なのです。

希望とは、現実を超えてなお「信じよう」とする力です。
それは、現在の状況がどれほど困難であっても、未来に可能性を見出し、自らの内に“光”を育てていくことに他なりません。

『星』のカードが放つ青は、まさにその「光の根源」を象徴しています。
たとえ現実に星が見えなくとも、心の空にはまだ灯っている——そう信じられることが、「星」と「青」のもたらす本質的な癒しであり、再生なのです。

『星』の図像に見る青の象徴性

『星』のカードは、夜空に広がる青の世界を背景にしています。
それはただの「夜の色」ではありません。この青は、再生・浄化・創造のための空間として、私たちの魂を包み込むように描かれています。

まず目を引くのは、大きな八芒星。
その中心に煌々と輝く青白い光は、シリウスや北極星といった不滅の星を象徴しているともいわれています。
その周囲には七つの小さな星——北斗七星、あるいは宇宙的周期「7」のサイクルを示す星々が並びます。

7という数は、時間と生命、宇宙のリズムを象徴する神聖な単位。
そして8は、それを超える霊的完成、永遠、魂の輝きへとつながっていく数です。
この「7+1=8」という構成は、私たちの命の周期と、そこに与えられた“超越の可能性”を示しているのかもしれません。

地に膝をつく女性の姿勢にも注目してみましょう。
右足は水に、左膝は大地に触れています。
これは「節制」にも通じるような、バランスと調和の在り方です。

彼女の両手には水差しがあり、一方の水は水たまりへ、もう一方は大地に注がれています。
この流れはただの物理的な動作ではなく、命の水=霊の水を「天上から地上へと注いでいる」行為と読み取れます。

水はここで、浄化・創造・再生を意味します。
すべてを洗い流し、過去を鎮め、地に新たな命を呼び覚ますこの動作は、まさに“魂の再起動”。
そしてこの「水の青」こそが、内なる希望の色としてこのカードを満たしているのです。

背景には一本の木が立ち、そこに一羽の鳥が止まっています。
この鳥には、自己犠牲や霊魂の運搬、聖なる創造性の象徴としての意味が重ねられています。
とくにペリカンは、キリスト教において無償の愛と再生の象徴とされ、生命の木に宿る「魂」を表す存在でもあります。

このように『星』の青は、魂の浄化と再生、そして命の循環を象徴する色なのです。

青と女性性——創造の霊的側面

『星』に描かれる女性の裸体は、単なる装飾ではなく、「魂の本質」そのものを象徴しています。
キリスト教的象徴では、裸体とは誕生・再生・創造を意味し、精神的な純粋さと、内なる輝きの象徴でもあります。

彼女は水を注ぐ動作を通じて、地上に創造と循環のリズムをもたらします。
これは、母なる存在、つまり霊的女性性の象徴です。

「女教皇」が沈黙の叡智であるなら、「星」の女性は「再生の創造主」。
自らを削ることなく、周囲を満たしていく青の創造力を体現しています。

さらに、彼女の背景に描かれた鳥もまた女性性の霊的側面を補強しています。
自己犠牲を象徴するペリカン、不死性と再生の象徴である鳥たちは、すべて『星』というカードの中で「光を受けた魂の活動」を象徴しています。

このカードの青は、まさに女性的霊性、『受容・創造・変容・再生』の象徴色として輝いているのですね。

『星』が伝える未来と希望のリーディング

『星』が語る「希望」は、単に「未来が明るくなる」というものではありません。
それは、今ここにいる私たちが、「まだ歩いていける」「自分の中に灯りが残っている」と感じること。
つまり、希望そのものが“心の感覚”として立ち上がることに意味があります。

リーディングの場面でこのカードが出たとき、それは“もう一度、自分を信じてみる”ためのきっかけになるでしょう。
現実にすぐ何かが変わるわけではないかもしれません。
けれど、「それでも前に進もうと思えること」こそが、このカードが告げる最大の癒しです。

また『星』は、創造性・芸術性・スター性を象徴するカードとしても現れます。
自分の個性や魅力が自然に光り出すとき、未来の可能性が開かれていくとき、「星」はそっと背中を押してくれるのです。

ただし、希望とは精神の力であり、他者から与えられるものではないということも、このカードは静かに教えてくれています。

青い星が導くのは、あなた自身の光

『星』のカードが伝えているのは、「未来が良くなる」ことではありません。
もっと静かで、もっと深くて、もっとあたたかいこと、それは『あなたは今も、光を持っている』ということです。

星が輝くためには、夜空の暗さが必要です。
すべてを失ったように思えるとき、ひとつの星が見えることがあります。
その光はどこか遠くの世界から届くものではなく、あなたの心の奥に、もともと存在していた光なのです。

青は、魂を洗い、心を清め、再び自分を信じる力を与えてくれます。たとえ現実が追いついていなくても、星のカードはこう語ります。

「そのままでいい。あなたがあなたを信じることこそが、最初の光なのです。」

『星』は、希望を与えてくれるカードではありません。
あなたが「希望そのもの」であることを、そっと思い出させてくれるカードなのです。

記事)小鳥遊

参考文献
『世界シンボル辞典』ハンス・ビーダーマン著
『タロット象徴辞典』井上教子著

『タロットの歴史』井上教子著
『シークレット・オブ・ザ・タロット』マーカス・カッツ/タリ・グッドウィン著 他    

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