【象徴解釈Vol.17】竹の象徴 ― 柔よく剛を制す、しなやかな強さの象徴

竹とは ― 折れても、根は折れない。
青々とした茎を空に向かってまっすぐ伸ばす竹。
その姿は、柔らかくも芯のある心、生まれ持った潔さ、そして逆境のなかでも折れずに再び立ち上がる力を象徴してきた。
古くから日本人の美意識や精神性と深く結びつき、竹は単なる植物以上の「生き方の象徴」として受け継がれている。
日本文化・神話における竹
竹は、日本の自然・文化・信仰の中で特別な象徴性を持つ植物である。四季を通じて青々とした姿を保ち、まっすぐに天へと伸びるその姿は、古来より「清廉」「成長」「節度」「神聖」といった意味を担ってきた。
日本最古の物語とされる『竹取物語』では、竹の中から光り輝くかぐや姫が現れる。この物語は、竹が「神聖な生命の宿る器」として認識されていたことを示している。また、竹林は神聖な場所とされ、神霊が宿ると信じられてきた。

神道においても、竹は神聖な植物とされ、祭礼や神事で使用されることが多い。特に、竹で作られた「しめ縄」や「竹垣」は、神域を示す結界としての役割を果たしている。
また、竹はその成長の速さと強靭さから、「繁栄」や「子孫繁栄」の象徴とされ、正月の門松や節句の飾りなど、祝祭の場でも重要な役割を果たしている。
このように、竹は日本文化において、「清らかさ」「成長」「神聖さ」「繁栄」といった多面的な象徴を持つ植物として、古くから人々の生活と信仰に深く根ざしている。
他の東洋文化・思想における竹
東アジア全体でも、竹は「君子の徳」を象徴する植物とされてきた。
たとえば中国の儒教思想では、竹は「四君子」(梅・蘭・竹・菊)のひとつとされ、冬に枯れず、風雪にも耐えながら青々とした姿を保つことから、品格と節義を表す存在として賞賛されている。
また、風に吹かれてもしなやかにしなる竹の姿は、「柔よく剛を制す」という老子的な思想にも通じる。これは剛強なものが折れてしまう一方、柔軟なものが生き延びるという自然哲学の表現であり、竹はまさにそれを体現する植物といえる。
西洋文化における竹
西洋において竹は、主にアジア文化の象徴やエキゾチックな植物として紹介されてきた。観賞用としての人気や、エコ素材としての評価は高まっているが、その象徴的価値は日本や中国に比べると限定的である。
ただし、近年ではサステナビリティやミニマリズムの観点から、竹の持つ「持続可能性」や「自然との調和」の価値が見直されてきており、新たな象徴性が加わりつつある。
象徴から読み解く竹 スピリチュアル メッセージ
竹は、スピリチュアルな文脈において「しなやかさ」と「強さ」を兼ね備えた象徴として語られることが多い。風に吹かれても折れずに揺れる竹の姿は、困難や逆境に屈せず、柔軟に対応していく精神性を示している。それはまさに「折れない心」「しなやかな忍耐」「精神的な成熟」を意味している。
また、竹は節を持って成長する。この「節」は人生の節目を象徴し、成長の過程での試練や転機を示すものとしても捉えられる。そのため、竹は「魂の進化」や「意識のステージの変容」を導く存在とされる。
加えて、竹は地下茎でつながり、群れとして繁茂する特徴を持つことから、「家系」「血縁」「ご先祖とのつながり」や「見えない縁」の象徴でもある。一本の竹が根元で多くの竹と連なるように、個人の運命もまた他者や過去からの影響と共に編まれているというメッセージが込められている。
スピリチュアルな視点で竹を見ると、それは「天と地をつなぐ橋」であり、「魂が上昇してゆくための軸」とも言える。まっすぐ空に向かって伸びる姿は、スピリチュアルな志向性や、自己の中心軸を保ちつつ上昇する魂の動きを象徴している。
そのため、竹に心惹かれるときは、自己の成長を信じ、今まさに節目に差し掛かっていることへの気づき、あるいは「耐えて進むべきとき」であるという宇宙からのメッセージが込められていると解釈できる。
占断への活かし方
・タロットとの関連:竹の象徴は「節制(Temperance)」や「力(Strength)」のカードに近い。特に「節制」は調和やバランス、「力」は優しさによる制御という意味を含み、竹の柔らかくも強いイメージと重なる。


・運気との関係:自己成長運、精神的安定運、人間関係運に関わりが深い。特に「変化に強い自分」をつくる力をもたらす象徴といえる。
夢に出てきたときの解釈
夢に現れる竹は、自己の「精神的な成長」や「しなやかで折れない強さ」「人生の節目」「縁のつながり」を象徴することが多い。特に、竹のまっすぐな姿や節ごとの構造は、自己の内面が一段一段成長を遂げている証として現れる。さらに、根を地下に張り巡らせ群生する竹の性質から、「家系的な影響」「過去とのつながり」「見えない支え」の存在が暗示される場合もある。
竹の夢を見るとき、人は内面的な強さを試されていたり、次のステージへの準備段階にあることが多い。また、その夢は、耐えること、しなること、そして折れないことの大切さを教えている。
1.青々とした竹林の中を歩く夢
精神的な落ち着きと、成長の途上にあることを示す。穏やかな進展、心の安定、そして自然との一体感を感じている状態を反映する。
2.竹がぐんぐんと伸びていく夢
運気の上昇と、目に見える成長や飛躍を暗示する。努力が実を結びつつあり、まもなく飛躍のときを迎えるサイン。
3.竹が風にしなやかに揺れている夢
柔軟な姿勢で物事に対応できている証。現在の困難は一時的なものであり、しなやかさを保てばやがて通り過ぎるというメッセージ。
4.竹が折れてしまう夢
過剰なプレッシャーや精神的限界を示唆する可能性がある。耐えがたい状況や、自分の強さを過信していたことへの警告として現れる。
5.枯れた竹を見る夢
生命力や活力の低下を示す場合がある。あるいは、人間関係や縁の切れ目、かつての信念の喪失を暗示することも。
6.竹で何かを組み立てている夢(竹垣、竹細工など)
人生や人間関係の再構築を暗示する。丁寧に築こうとしている過程や、手作業による未来の設計図のような象徴性がある。
7.竹を切る夢
古いしがらみや、今の自分を縛っているものを断ち切ろうとする意思の表れ。場合によっては、自立や断捨離のサイン。
総括メッセージ
夢の中の竹は、あなたの「内なる成長力」と「精神的な柔軟性」を象徴している。その竹がしっかりと根を張っていたなら、あなたには見えないところで支える力がすでにあるということ。しなっても、折れない心。それこそが、今あなたに宿るべき強さである。
竹は、風を受けてなお揺るがず、静かに強さを育む
竹の姿は、外の力に屈することなく、しかし抗うことなく、自分らしさを失わずに生きるヒントを与えてくれる。
私たちもまた、時にしなることで、折れずに立ち続けることができる。
その芯の強さは、柔らかさの中にこそある――竹は、そんなことを教えてくれているのだ。
記事)小鳥遊
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