【タロットと色彩|Vol.5】青×月〜変容の夜を歩む静けさの象徴〜

霊性の色・青が照らす「無意識」の世界へ
こんにちは、タロッティストの小鳥遊です。
青。それは沈静と精神性の色であり、夜の静けさや夢の記憶と結びついています。
これまで「女教皇」「星」「節制」のカードに見たように、タロットにおける青は、心の深層、静かな直感、魂の領域と強く結びついてきました。
今回は、そうした「青」の象徴をさらに深く掘り下げる1枚――『月』のカードに焦点を当てます。
夜の光に満ちるカード『月』は、迷いや錯覚、夢と幻、そして変容の始まりを意味する神秘の象徴。
そこには、沈黙の中に潜む直観と、無意識の領域を照らす“青のひかり”が確かに宿っています

青という色の象徴と「月」の共鳴
『世界シンボル辞典』によれば、青は「精神性や知性をあらわす色」であり、「心を内省的にし、世事に煩わされない泰然自若とした人生のあり方」と深く関係づけられています。
また、青は「天空」「水」「大気」など、透明で形を持たない媒体の色でもあります。
それゆえに青は、外の世界と自分の内側を繋ぐ「霊的媒体」として古来より扱われてきました。
この青の静けさと深さは、『月』のカードが示す「無意識」「夢」「本能」といったテーマと見事に共鳴します。
なぜなら、『月』が描くのは、光と影、現実と幻想の境界線――すなわち私たちの心がいちばん“青く”なる瞬間だからです。
『月』のカードにおける青の視覚表現
ウェイト・スミス版『月』のカードには、さまざまな「青」の要素がちりばめられています。
- 空の青
- 前景に広がる水面(潜在意識の象徴)
- 岩肌の陰影に宿る蒼い沈黙
- 遠景に聳えるふたつの塔の影
こうした青の使われ方は、夜の静寂だけではなく、“まだ言葉にならない何か”の兆しを感じさせます。
月は太陽の光を受けて輝く存在。
それゆえ、直接的な自己主張を避け、他者の光を受けて変容する受動性を象徴します。
ここで青は「沈静・受容・反映」としての意味を帯び、『月』というカードの核心にある「変化の前の沈黙」を象徴的に照らし出すのです。
第3章:青と夢 ― 古代神話と『月』の深層的つながり
『月』は、古代から多くの神話において、神秘・直感・霊視の象徴とされてきました。
- ギリシア神話ではアルテミス(月の女神)は狩猟と処女性、そして夜の静けさの守護者でした。
- エジプト神話におけるトートは月の神であり、知恵と記録を司る青い神とされました。
- 日本神話における月読命(ツクヨミ)は、夜の統治者であり静けさと浄化の力を司ります。
いずれの神も、「沈黙」「知恵」「内省」という青の属性と重なります。
『月』のカードに描かれた水は、無意識を映す鏡であり、そこに差し込む青い光は、「まだ形にならない真実」へと私たちをいざないます。
夢の世界では、すべてが曖昧で、直感が研ぎ澄まされます。
その意味で『月』は、夢を通して自己と出会う「霊的探求の入り口」であり、青という色が象徴する“透明な深層”を歩くための招待状なのです。
月のカードが語る「変容」への前触れ
『月』のカードが放つ青は、静けさや夢見心地だけでなく、“変容の痛み”を伴う色でもあります。
月は形を変え続ける存在です。
満ちては欠けるそのリズムは、私たちの内面の不安定さや心の揺らぎ、そして再生のための「混乱」を映し出します。
このカードに描かれた小道は、水辺からはじまり、門のように立ち並ぶ2本の塔を抜け、遠くの山へと続いています。
それは現実と無意識の境界を超えて、より高次の自己へと至る「魂の道」。
その道を歩むには、まさに“青の静けさ”の中で、自己と向き合う勇気が必要です。
また、犬と狼が月に向かって吠えている様子は、人間の中にある“理性と本能”のせめぎ合いを表します。
夜という無意識の時間に、その葛藤は最も鮮やかに現れる――その瞬間に立ち現れる青の光は、単なる癒しではなく、「試練を通じてこそ見える真実」を暗示しているのです。
霊性の夜明けと「青い静けさ」
月のカードは、霊的成長の“夜”の段階に位置します。
それは「塔」の崩壊という衝撃のあと、「太陽」の目覚めへと向かう夜明け前の静けさ。
このカードの青は、まさにその“夜の霊性”の象徴です。
暗く、深く、だが希望を捨ててはいない。
月の光は太陽のようにすべてを照らすことはできませんが、ぼんやりとした陰影の中に「もう一つの真実」を見せてくれます。
それは論理では説明できない感覚であり、無意識が語りかけてくる声です。
その声に耳を澄ませること、それこそが『月』というカードが私たちに授ける“静かな叡智”なのです。
この静けさの中で人は「夜の祈り」を捧げ、目に見えない変容のエネルギーを内に蓄えるのです。
沈黙の夜にささやかれる再生の予兆
『月』のカードが放つ青は、単なるカラーリングではありません。
それは無意識の深淵に射し込む光、夜の心を照らすスピリチュアルな灯りです。
このカードが示すのは、不安や迷い、幻影といった混乱の中にもなお、“次なる夜明けの予兆”があるということ。
静かなる変容、やがて満ちゆく魂の胎動、それを感じ取る力は、まさに青という色が象徴する精神性そのものです。
『月』のカードを通して見えてくる「青」は、夢と記憶の繭。
いまはまだはっきりしない未来の姿が、夜の奥底でひそやかに育っていることを告げています。
静けさと不確かさを恐れず、あなたの魂の中に宿る“青い光”に目を向けてください。
その光は、いずれ確かな形となり、あなた自身を変容の地平へと導いてくれるでしょう。
記事)小鳥遊
参考文献
『世界シンボル辞典』ハンス・ビーダーマン著
『タロット象徴辞典』井上教子著
『タロットの歴史』井上教子著
『シークレット・オブ・ザ・タロット』マーカス・カッツ/タリ・グッドウィン著 他
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