【象徴解釈Vol.38】ルビーの象徴 ― 情熱と誇りを宿す魂の炎

魂の炎を宿す宝石
古代より「王者の石」と呼ばれ、情熱と勝利の象徴とされてきたルビー。
燃えるような赤は、ただ美しいだけではない。人の内なる力を呼び覚まし、信念と愛に火を灯すように、揺るぎない意思と高貴な使命感を象徴する。
ルビーは、単なる装飾品ではなく、生き方を照らす道標としての側面をもっている。
この記事では、日本から世界各地にわたる神話的・文化的なルビーの象徴をたどりながら、この石が私たちに語りかける深いメッセージを探っていく。
日本における文化・思想・神話による捉え方
日本では、ルビーという名称こそ西洋由来であるが、その赤色の輝きは古来より「血」や「命」、「情熱」といった概念と深く結びついてきた。たとえば、赤い宝石や赤い糸、赤い布などは魔除けや縁結びに使われることが多く、その象徴性がルビーにも重ねられている。また、赤は陰陽五行で「火」に属し、心臓や魂の座とされる「心」を司る色でもある。心火の象徴として、生命力・恋愛・忠誠・信仰を守る力が宿るとされる。
神道や仏教においても、赤は強い浄化作用と守護の色であり、仏像の装飾や巫女の衣装にも頻繁に使われている。したがって、ルビーは霊的にも情熱的にも「真実の力を貫く石」として直感的に受け入れられてきたといえる。
日本以外の東洋文化・思想・神話による捉え方
インドにおいてルビーは特別な地位を持つ宝石であり、「ラトナラージャ(宝石の王)」とも称される。ヴェーダ時代には、ルビーは太陽神スーリヤや火の神アグニに捧げられた。


それは赤い光の源として、魂を浄化し、カルマを焼き尽くす力があると信じられていたからである。ヒンドゥー教では、ルビーを身に着けることで敵意を鎮め、王者のカリスマを高めるとされ、王族や聖者たちが特に好んだ。
また、中国では赤は非常に吉祥な色であり、繁栄、幸福、祝福を象徴する。風水においてもルビーは「火」の気を持ち、悪霊を祓い、恋愛運と地位運を上昇させる石とされた。
西洋の文化・思想・神話による捉え方
西洋ではルビーは長く「王の宝石」とされ、最も高貴な赤色の象徴として崇められてきた。中世ヨーロッパにおいては、ルビーは「燃える石」「愛の石」と呼ばれ、戦士には勇気と勝利を、女性には情熱と守護をもたらすとされた。また、ルビーはキリスト教神秘思想において「キリストの血」を象徴するともされ、その聖なる犠牲と愛を記憶する媒体と見なされた。
神話的には、ルビーはドラゴンの心臓や、神々の武器に宿る炎として描かれることも多く、たとえば「ベオウルフ」などの叙事詩の中でも、燃える宝石として神秘的存在と結びついている。
象徴から読み解くルビー スピリチュアル メッセージ
ルビーは、「魂の火」を象徴する。欲望に飲み込まれるのではなく、内なる情熱を制御し、高次の愛や真実に向かわせる炎である。それは自己破壊ではなく自己献身であり、偽りの愛ではなく、真に血の通った人間関係の構築を意味する。
この石は、「心に火を灯せ」と語りかける。それは恋愛に限らず、生きることそのものへの熱であり、惰性ではなく意志によって生きることへの覚悟でもある。
占断への考察
タロットとの関連
タロットにおいてルビーと照応するカードは「ワンド(棒)」のスート全般、とりわけ『ワンドのエース』や『力』のカードが挙げられる。いずれも情熱やエネルギー、創造性といった火の性質を表しており、ルビーの持つ「活力と魂の熱」と共鳴する。
また『恋人たち』のカードにおいても、愛の情熱がテーマとなる文脈ではルビーが象徴的に重なる。



運気との関係
ルビーは「恋愛運」「自己表現運」「勝負運」を高める石である。愛情の深まりだけでなく、芸術的活動や社会的チャレンジにも熱意と勇気を与える。目標に向けた意志力が求められる時や、停滞した感情を突破したい時にも効果的なシンボルとなる。
夢分析に用いる例
ルビーの夢は、心に宿る「火」をどのように扱っているかを問う夢である。それは燃え尽きるまで情熱に従うのではなく、心の真実に従って生きるかどうかの選択を迫る象徴でもある。
● ルビーを贈られる夢
深い愛情や信頼を誰かから受け取る暗示。特に長く求めていた関係や絆に光が差す兆し。愛を信じる力を取り戻すタイミング。
● ルビーをなくす夢
感情の揺らぎや、大切な何かを見失っている可能性がある。とくに情熱が冷めかけていることや、信頼関係の危機を示唆することがある。
● ルビーを握りしめる夢
内なる意志や決意が固まった証。自分自身の情熱と再接続する夢であり、新たなチャレンジや恋に向かう前兆ともなる。
● ルビーが燃える夢
極めて強い感情や変化の前触れ。特に嫉妬・情欲・怒りといった激しい感情がテーマとなることもあるため、感情のコントロールと方向性を見直す必要がある。
心の真紅に火をともすために
ルビーは、外から与えられる愛を待つのではなく、自らの内に愛の火種を持つことの大切さを教えてくれる象徴である。
強い意志、誇り、自己信頼、そして情熱。それらは他人から与えられるものではなく、自分の中に見出し、育てるものである。
ルビーを夢に見たとき、あるいは日常の中で強く惹かれたとき、それは、あなた自身の中に眠る「燃えるような生命力」が、目を覚まそうとしている兆しかもしれない。
ルビーの象徴にふれることは、真の自己との再会への招待状である。
記事)小鳥遊
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