【象意解釈Vol.6】オリーブの象徴 ― 平和と叡智を授ける聖なる木

オリーブとは何か ― 永遠性・知恵・聖性の象徴
オリーブは地中海沿岸を中心に広く栽培されてきた樹木であり、その実は食用や油に加工され、生活の基盤を支える存在であった。それゆえ古代においてオリーブは単なる植物以上の意味を持ち、「平和・叡智・神聖なる契約」の象徴とされてきた。
その強靭な生命力と、乾いた土地にも根を張るその姿は、霊的な強さや永続性を象徴する。オリーブは、癒しと和解の象徴であると同時に、神と人間をつなぐ橋渡しの象徴でもある。
日本文化におけるオリーブ
日本において「オリーブ」は、もともと地中海地域の植物として外来種の扱いであったが、20世紀以降、文化的・象徴的な意味を伴って広く認識されるようになった。特に香川県小豆島が国産オリーブの発祥地となったことで、地域ブランドや平和の象徴として定着していく。
オリーブが日本に本格的に導入されたのは明治時代末期である。気候が似ていた小豆島では栽培が成功し、その後「オリーブの島」として観光や文化の発信地となっていく。オリーブの木はその生命力の強さ、剪定に耐えて再び枝葉を伸ばす様子から、「再生」「不屈」「希望」の象徴としても扱われるようになった。
また、日本独自の信仰や象徴体系の中では、オリーブはやがて「平和」「調和」「安寧」の象徴として重ねられていくようになる。これは地中海文化における「平和の象徴」という意味を踏まえつつ、日本的な価値観――とくに「和をもって貴しとなす」「共生」「心の静けさ」などと融合したものである。
近年では神社の植栽や婚礼用の装飾などにオリーブが用いられる例も見られ、「神聖な木」「祝福をもたらす植物」としての認識が広がっている。特に「オリーブの枝」は、手渡すことで「争いを収める」「対話を始める」象徴としての意味が含まれ、和解や癒しのメッセージとともに用いられている。
このように、オリーブは日本文化においても「受け継がれる希望」「共に生きる知恵」「静かな強さ」の象徴として、新たな精神的価値を獲得しつつある。
世界の文化・神話におけるオリーブ
● ギリシャ神話
最も有名なのは、アテナ女神によるオリーブの授与である。ポセイドンとアテナがアテネの守護神をめぐって争った際、アテナはオリーブの木を贈り、その実と油によって民に恩恵を与えることを示した。これがアテネ市の名の由来とされる。

Ἀθηνᾶ
戦い、知恵の女神, 都市の守護女神
ここでは、オリーブは「知恵と民への加護のしるし」として、神から人への霊的贈与を象徴している。
● 旧約聖書
創世記では、大洪水の後、ノアの方舟に戻ってきた鳩がくわえていたのがオリーブの枝であった。これは神と人との和解と新たな契約の証として読み解かれる。
この逸話から、オリーブは平和・終息・神の赦しを意味するようになり、今日でも平和の象徴として国際的に使用されている。
● ローマ・キリスト教文化
古代ローマでは、オリーブ油は神殿や王の儀式、病の癒しに使用されており、祝福・聖別・癒しを象徴する。キリスト教ではオリーブ油による聖別が重要な儀礼のひとつであり、魂の救済・神の加護を意味していた。
西洋思想・象徴学におけるオリーブ
オリーブは「平和」「赦し」「永続性」の象徴として、しばしば高次の精神的価値を担う。
錬金術においても、オリーブ油は「霊魂を浸す聖なる媒体」として用いられた。油は火を灯す媒体でもあり、「光(叡智)を保つもの」としての側面もある。
ユング心理学では、オリーブの樹は「集合的無意識における叡智と癒しの母型」とされ、夢に現れるとき、それは深層心理の安定と自己統合の徴とされる。
象徴から読み解くオリーブ スピリチュアル メッセージ ― 平和とは、内側から始まる
オリーブは、スピリチュアルな象徴体系において、特に「平和」「和解」「再生」「霊的な祝福」といった高い精神性を備えたシンボルとされている。その象徴性は、古代地中海世界においてすでに確立されており、現代においても宗教的、神秘的、心理的な文脈の中で重要な意味を持ち続けている。
第一に、オリーブは「平和の象徴」として最もよく知られている。旧約聖書『創世記』において、大洪水の後にノアの方舟へ戻ってきた鳩がオリーブの枝をくわえていたという記述がある。この場面は「神と人との和解」「怒りの終わり」「新たな世界の始まり」を示すものであり、オリーブはそれ以来、「神の赦し」「心の安らぎ」「対立の収束」を告げる植物とされてきた。
また、オリーブは「持続的な生命力」「霊的成熟」「静けさの中の強さ」の象徴でもある。乾燥地や岩の多い地形においても根を張り、百年単位の寿命をもつその姿は、逆境の中でもぶれない芯を持つ魂の在り方を映し出している。スピリチュアルな視点から見れば、オリーブは「外から見えない深い信念」や「静かなる霊性」の象徴と解釈される。
さらに、オリーブオイルは古代より「聖油(アノインティング・オイル)」として宗教儀式や癒しに用いられてきた。キリスト教では王や預言者に注がれる油として、また、古代ギリシアではオリンピック勝者に与えられる冠の材料として、オリーブは「選ばれし者への祝福」「勝利と栄誉」の意味を担っている。
スピリチュアルな成長のプロセスにおいて、オリーブは「過去の痛みを癒し、心に平安をもたらす存在」として働きかける。オリーブが象徴として現れるとき、それは「争いの終結」「自分自身との和解」「新たな始まりへの準備」を告げている。特に人間関係や自己との対話において、心を開くこと、赦すことの重要性を知らせるサインである。
このように、オリーブは単なる植物にとどまらず、深いスピリチュアルなメッセージをたたえた存在である。争いのあとに手渡されるオリーブの枝のように、人生に訪れる静かな転機と癒しの瞬間を告げる導き手として、魂に語りかけてくる。
占いにおけるオリーブの考察
タロットでの例
- 節制(Temperance):調和・均衡・浄化の象徴として、オリーブの精神に通じる
- 星(The Star):癒し・希望・天との調和=オリーブの叡智
- 女帝(The Empress):実り・平和・母なる地=オリーブの豊穣性と関連



どの運気にかかわるか
- 対人運(争いの収束、調和の再建)
- 精神的安定運(癒し・安心感)
- 叡智運(問題の核心を平和的に見抜く力)
- 霊的守護(神仏とのご縁・保護)
夢にあらわれるオリーブの意味
オリーブが夢に登場する場面は多くはないが、その分、夢の中で現れたときには極めて象徴的である。オリーブの夢は、魂の深い部分に関わるメッセージを含み、「心の平和」「関係の修復」「精神的再生」など、人生の転機や和解のタイミングを知らせるものとして現れることが多い。
また、オリーブの枝や実、あるいはオイルといった形での登場も、それぞれ異なる意味合いを持つ。夢の中の状況や自分の感情とあわせて解釈することで、内面の課題や乗り越えるべきテーマが明確になることがある。
以下に代表的な夢のパターンと象徴的な解釈を記す。
1.オリーブの木を見つける夢
オリーブの木が夢に現れるのは、「心の安定」や「内なる強さ」を見いだす準備が整っているサインである。とくに一本だけで佇む姿が印象的であれば、それは「自分自身との和解」や「孤独の中にある静かな成長」を表している。穏やかな風景の中でオリーブの木が立っているなら、霊的な導きが近くにあることを示唆している。
2.オリーブの枝を受け取る夢
誰かからオリーブの枝を手渡される夢は、「和解」「対話の始まり」「関係修復」の象徴である。夢の中での相手が現実でも関係を持っている人物なら、その人との関係が近々好転する可能性が高い。見知らぬ人物の場合は、広い意味での対人運や人間関係の刷新を意味している。
3.オリーブの実を収穫する夢
オリーブの実を収穫する夢は、「努力の実り」「人生の一段落」「静かな達成」を象徴する。特にそれを喜んでいる場合は、今までの行いが報われるタイミングである。実が青く未熟な場合は、「今はまだ準備段階であるが、近いうちに成果が見える」という暗示である。
4.オリーブオイルを使う夢
オリーブオイルを身体に塗る、料理に使う、誰かに与える夢は、「癒し」「浄化」「魂の潤滑油」としての象徴をもつ。体に塗る場合は、自己の癒しを進める段階にあることを示し、他人に塗る場合は、誰かに対して許しや慈しみを与える用意ができている状態である。
5.オリーブの枝を折る夢
オリーブの枝を自ら折ってしまう夢は、「拒絶」「和解の拒否」「怒りの未解消」といった内面の葛藤を示す。心の中で何かを受け入れきれず、距離を取ろうとしている状態である。意識的に対話や内省の時間を持つことが望まれる。
6.オリーブの木が枯れている夢
枯れたオリーブの木が印象に残る夢は、「信念の揺らぎ」「心の疲弊」「霊的乾燥」の象徴である。これまで信じてきたものが揺らいでいる可能性があり、内なる平和や信頼を取り戻す必要がある。再生の兆しを見逃さないよう注意する時期である。
7.オリーブの木の下で休む夢
オリーブの木の下で眠る、座る、休息をとるといった夢は、「保護」「休息」「霊的なシェルター」を象徴する。忙しさや心の疲れが癒しを求めている状態であり、今は外に出ていくよりも内面の静けさに身を預けるべき時である。
総括:オリーブの夢が告げる静かな変化と魂の成熟
オリーブの夢は、激しい変化を求めるのではなく、静かに育まれる内面の成熟を象徴している。対立の終焉、過去の癒し、新たな始まり――そうした重要な人生の節目に、オリーブは夢の中で静かにその姿を現す。喧騒の外で芽吹く平和の木は、今まさに心の中に根を張ろうとしている。
オリーブは、癒しと叡智の贈り物である
オリーブは、ただの植物ではない。
それは、神話の中で人と神をつなぎ、争いの歴史にあって和解の兆しをもたらし、人々の心と体を潤してきた聖なる贈与の象徴である。
人生のどこかで「オリーブの枝」に出会ったなら、それはきっと、あなた自身が誰かと、あるいは自分自身と「和解しようとしている証」なのかもしれない。
記事)小鳥遊
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