【象徴解釈Vol.20】てんとう虫の象徴―幸運を運ぶ小さな使者

てんとう虫とは ― 幸運を呼ぶ赤い旅人

てんとう虫は、その小さな体に鮮やかな赤や橙の背をもち、黒い斑点をまとう愛らしい昆虫である。日本語の「てんとう虫」は「お天道さま(=太陽)」に由来し、太陽に向かって飛ぶことからこの名が付いたとされている。日本では特に春の訪れとともに姿を見せ、子どもたちにも親しまれる存在であると同時に、古来より幸運の象徴として語られてきた。

日本文化・神話におけるてんとう虫

てんとう虫は、日本において「天道虫」と書かれ、「お天道様の虫」という意味を持つ。これは、太陽に向かって飛んでいく習性から、太陽神の使いと考えられたことに由来している 。このような背景から、てんとう虫は幸運の象徴とされ、縁起の良い存在として親しまれてきた。
また、てんとう虫は農業においても重要な役割を果たしている。肉食性のナナホシテントウやナミテントウは、農作物の害虫であるアブラムシを食べることから、益虫として知られている 。このような生態的な特徴も、てんとう虫が人々に好意的に受け入れられる要因となっている。
一方で、植物食性のニジュウヤホシテントウなどは、ジャガイモやナスなどの作物を食害するため、害虫として認識されることもある 。しかし、全体としては、てんとう虫は日本の文化や思想において、幸運や太陽神の使いとしての象徴性を持つ存在として捉えられている。

他文化・神話におけるてんとう虫

西洋においても、てんとう虫は「幸運の前触れ」とされる存在である。特に中世ヨーロッパのキリスト教世界では「聖母マリアの使い(Ladybird / Ladybug)」とされ、背中の赤はマリアのマント、黒い斑点は悲しみの涙と結びつけられた。

また、農民たちにとって作物を守ってくれる存在であったため、殺すと不運が訪れるとされ、手にとまれば願いが叶う、服に止まれば幸運が舞い込む、といった伝承が広く語られている。

西洋文化・象徴思想におけるてんとう虫

象徴思想においては、てんとう虫は「太陽」「再生」「愛」「希望」といったキーワードと結びつく。特に赤は情熱・生命力、黒は神秘・潜在力を示し、そのコントラストが生み出す調和は「小さきものに宿る大いなる力」として象徴される。

さらに、てんとう虫が飛ぶ姿は「軽やかに運命を乗り越える力」や「困難を愛と信頼で包み込む象徴」としてポジティブな意味合いで捉えられてきた。

象徴から読み解くてんとう虫 スピリチュアル メッセージ

てんとう虫は、スピリチュアルな領域において「幸運」「祝福」「変容」「守護」といった意味を象徴する。特に赤く丸い体と黒い斑点は、太陽の力と宇宙的な秩序をあらわすとされ、自然界における神聖なシンボルのひとつとみなされてきた。

てんとう虫の訪れは、目に見えない存在――たとえば守護霊やスピリットガイド、あるいは自然の精霊たち――が「あなたの選んだ道は正しい」「すでに祝福の流れの中にある」という合図を送っているサインであると捉えられることがある。実際、「突然てんとう虫が現れた」「肩や手にとまった」といった体験談は、願いが叶う前兆や、人生の転換点を迎えるサインとして語られることが多い。

また、てんとう虫の「飛ぶ」という行為は、古くから「願いが天に届く」ことの象徴であり、「問題の解決が近い」「自分の真実を生き始めている」サインとして読み解かれる。特に、てんとう虫がこちらに向かって飛んできた場合は、外からの援助や新しいチャンスが近づいている兆しとされ、逆に飛び去る姿を見る場合は、「過去の悩みや執着が解放される」というサインとされることもある。

さらに、色にも意味が込められる。たとえば、赤いてんとう虫は「愛・情熱・守護」の象徴、黄色いてんとう虫(キイロテントウなど)は「知性・直感・変化」をあらわし、それぞれ現れた色によってスピリチュアルなメッセージが異なるとされる。

このように、てんとう虫は私たちの日常に現れる「小さな神使」であり、自然と霊的な世界との橋渡し役として、やさしくも強いエネルギーを届けてくれる存在だと考えられている。

占いへの活かし方

タロットとの関連

てんとう虫は「運命の輪(Wheel of Fortune)」や「星(The Star)」に象徴されるような、「予期せぬ良い展開」「守護や希望の訪れ」を暗示する。

運気との関係

幸運運・人間関係運・再出発のチャンスなどに関わる。とくに落ち込んだあとに立ち上がるときの追い風のサインとして活用できる。

夢占いにおけるてんとう虫の意味

夢に現れるてんとう虫は、人生の転機や願望の成就、守護的な存在の介入を象徴することが多い。現実世界では見逃してしまうような「小さな幸運」や「ささやかな兆し」が、夢というかたちで強調されて表れるのがこの象徴の特徴である。また、色や数、動き方、夢の中での感情などによってもメッセージは変化する。

【パターン別解釈】

  • てんとう虫が自分の体にとまる夢
     あなたの選択や今いる場所が「守られている」ことのサイン。直感を信じて行動すると、運が味方してくれる。
  • てんとう虫が飛び立つ夢
     新しい環境やステージへの移行を意味する。過去の悩みから解放され、自由な未来へと飛び立つ準備が整っていることを暗示。
  • てんとう虫が大量に現れる夢
     想定以上のチャンスや援助が舞い込む予兆。とくに人間関係や金運において良い知らせがもたらされる可能性がある。
  • てんとう虫をつぶしてしまう夢
     大切なチャンスを見逃していたり、無意識に運を遠ざけている状態を示す。焦らず、自分を責めすぎずに。
  • てんとう虫が死んでいる夢
     小さな幸福に目を向けられなくなっている可能性。周囲への感謝や足元の幸せを見直すことが開運の鍵になる。
  • てんとう虫を助ける夢
     他人に対するあなたの優しさが、めぐりめぐって自分の幸運として戻ってくる兆し。徳を積む行為の象徴。

【夢からのメッセージ】
てんとう虫の夢は、「静かなる祝福」と「見落としがちな幸運」を告げてくれます。派手さはないかもしれませんが、確実にあなたの味方となる力が働いていることを忘れないでください。今あなたが手にしている「ささやかな喜び」は、じつはとても大きな奇跡の種なのです。

小さな幸運が運ぶ大きな気づき

てんとう虫の夢は、忘れていた希望や、小さなきっかけを大切にするよう促すメッセージだ。自分自身を優しく肯定し、未来にもう一度、期待してみよう。
誰かが差し出してくれた小さな親切や、ふと目に留まった風景のなかに、幸運の種は隠れている。てんとう虫は、心を開くことで運が舞い込むことを教えてくれる。

記事)小鳥遊

\ 最新情報をチェック /

動画講座 はじめての手相入門講座

この講座では、一人ひとりの感性を活かして読み解く力を育てていくことを目指しています。
・基礎は見返すことができるように、テキストと動画を用意
・鑑定時の適切な見立てとなる補助テキスト追加
・手相術習得で一番大切な質問回数は無制限
・講座の受講期限は無し
・講座参加から1年間の受講保証
手相を通して、誰かと向き合うこと、それは、自分自身をもっとよく知ることにもつながっていきます。
【料金】9,800円(税込)