【象徴解釈Vol.19】鶴の象徴―日本文化・神話に息づく“聖なる鳥”

鶴とは ― 時を超えて生きるものの象徴
鶴は、その気高く美しい姿から、日本では古くから「吉祥の鳥」「霊鳥」として崇められてきた。
その長寿や一途なつがいの習性から、鶴は「不老長寿」「夫婦円満」「平和」の象徴とされ、正月飾りや結婚式、祝儀袋など、人生の節目における縁起物としても定着している。
折り鶴や鶴の舞といった文化表現にも見られるように、鶴は単なる動物ではなく、人の願いを運び、霊的な次元とつながる存在として捉えられてきた。
日本文化・神話における鶴
鶴は、日本文化において古来より「瑞鳥(ずいちょう)」とされ、吉祥や長寿、神聖さを象徴する存在として尊ばれてきた。その背景には、中国の神仙思想の影響がある。中国では、鶴は仙人の乗り物とされ、不老不死の象徴とされた。この思想は平安時代までに日本に伝わり、鶴は神聖な鳥としての地位を確立した 。
『万葉集』では、鶴は「たづ」と詠まれ、水辺に生息する実際の鳥として描かれている。しかし、『古今和歌集』以降、中国の登仙伝説の影響を受け、鶴は瑞祥や長寿の象徴として詠まれるようになった 。また、鶴は「浜の真砂」や「千代」といった語と組み合わせられ、長寿や繁栄を祝う歌語として定着した。
民間伝承においても、鶴は特別な存在である。「鶴の恩返し」は、日本全国に伝わる有名な昔話であり、鶴が人間に恩を返すという物語である。この物語は、鶴が人間に対して深い感謝の念を抱く存在として描かれており、鶴の神秘性や霊性を強調している 。
さらに、鶴は神道の祭祀や舞楽においても重要な役割を果たしている。「鶴の舞」は、神前で奉納される舞の一つであり、鶴の優雅な姿を模した舞踊である。この舞は、神聖な儀式の中で演じられ、鶴の神秘性を象徴する。
このように、鶴は日本の文化・思想・神話において、吉祥、長寿、神聖さ、霊性など多面的な象徴を持つ存在として、古くから人々の信仰と生活に深く根ざしている。
他文化・神話における鶴
中国においても鶴は「仙人に仕える霊鳥」として知られ、特に「丹頂鶴」は長寿と高貴さの象徴とされた。
仙人が鶴に乗って空を飛ぶ絵や、鶴が天界と人間界を行き来する姿は、霊的な階梯の象徴として絵画や詩に頻出する。
また、朝鮮半島でも鶴は尊い存在とされ、宮廷文化や伝統舞踊において、純潔や忠誠、理想の生き方の象徴として尊ばれている。
西洋では鶴にあたる鳥としてコウノトリが類似の象徴性を持ち、「命を運ぶもの」「再生の象徴」として伝承されてきた。
象徴から読み解く鶴 スピリチュアル メッセージ
鶴は、霊的な視点において「天と地をつなぐ存在」として位置づけられる。高く空を舞う姿は、地上の現実世界から神聖な領域への橋渡しを象徴し、神仏の遣い、または魂を導く霊鳥として語られることが多い。
日本の伝承や信仰においても、鶴は「不死」「再生」「昇華」「祝福」の象徴として扱われてきたが、スピリチュアルな解釈では特に「霊的進化」や「魂の成熟」との結びつきが強い。鶴が現れるとき、それは個人が物質的な視野を超え、精神性や内的成長の段階に入っていることを示唆する。
また、鶴は「音」の象徴としても解釈されることがある。鳴き声が遠くまで響くことから、祈りや意志が天に届くことを意味し、スピリチュアルメッセージの伝達役としての性質を帯びている。特に「ひと声の鳴き」で飛び立つ様子は、「決断」「飛翔」「転機」を象徴するとされる。
さらに、対になった鶴が登場する場合、それは「魂の伴侶」「霊的パートナーシップ」の意味を持つ。スピリチュアルなつながり、あるいは魂レベルの契約の存在を示す徴ともなる。古来より夫婦円満や長寿の象徴とされてきたのは、まさにこの「霊的調和」の意味を反映している。
まとめると、鶴は「霊性の成熟」「魂の高次との交流」「愛と調和の象徴」であり、その姿は天と地のあいだに生きる人間が、より高い存在意識へと目覚めていくプロセスを象徴している。
占断に活かす
タロットとの関連
タロットカードでは、『星』や『審判』など、再生や魂の高次の導きを象徴するカードと親和性が高い。
特に『星』のカードに描かれる鳥は、希望と再生の象徴であり、鶴と同じく「上位の意志」とつながる存在と見なすことができる。


運気との関係
鶴は「長寿運」「夫婦運」「霊的成長運」に強く関与し、「魂の約束」や「縁の深さ」を占う場面で現れやすい。 また、祈りや願いが届くタイミング、または高次元からの導きがあるときにも象徴として浮かび上がる。
夢での象徴解釈
夢の中に現れる鶴は、一般に「祝福」「霊的高揚」「高次の導き」「長寿」などの吉兆とされる。その美しい姿は、日常を超えた世界との接点、あるいは内面の成長への兆しを象徴する。特に空を舞う鶴は、魂が現実を超えて何か大きな真理に触れようとしている状態を反映することがある。
また、夢の中の鶴は「人生の転換期」「静かなる決意」「守護霊のサイン」として現れる場合もある。鶴の姿は端正でありながら力強く、夢の印象が澄んでいるほど、精神的な進展や内的成熟が近いことを示すことが多い。
鶴が飛んでいる夢
精神的な飛躍や自由への渇望を示す。自分自身の可能性が広がりつつある時期であり、新しい視点を得る準備が整っている。
鶴が舞い降りてくる夢
神仏や高次存在からのメッセージが届いている可能性を示唆する。静かに現れた場合は、導きや守護の象徴となる。
鶴と目が合う夢
自分の中にある霊性や直観が目覚めている兆し。あるいは、心の奥底で何かを「悟ろう」としている状態の表れ。
二羽の鶴が寄り添う夢
魂のパートナーや真の伴侶との結びつきを象徴する。現実における出会いや縁結びの前触れであることも多い。
鶴が鳴く夢
自身の内なる声、あるいは届くべき相手へのメッセージが強まっていることを示す。声が印象的であるほど、メッセージ性が高い。
鶴が傷ついている夢
精神的な疲弊や霊的な不調を示唆する。現在の方向性や対人関係に見直しが必要であることを暗示することも。
折り鶴が大量に現れる夢
→祈りや希望が積み重ねられている状態。何かを願い続けている気持ち、あるいは他者の祈りが自分に届いている可能性を象徴する。
総括メッセージ
鶴の夢は、ただの吉兆としてではなく、魂が何かを受け取ろうとしている重要なサインである。それは現実からの逃避ではなく、高次の次元への目覚めや内的成長のための導きである場合が多い。夢の中の鶴が印象的であればあるほど、そこには深い意味と天からのメッセージが込められている。
天と地をつなぐ象徴としての鶴
静かに佇むその姿、天へと舞い上がる翼。 鶴は、地上の命でありながら、天の領域と交信する存在。
折り鶴に込めた祈りのように、あなたの願いもまた、見えない力に導かれている。
いま、どんな時を生きていようと―― その魂は、悠久の記憶とともに、そっと未来へと羽ばたいている。
記事)小鳥遊
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