【象徴解釈Vol.47】バラの象徴 ― 愛と再生の霊的メッセージ

香りに託された魂の象徴
バラは、香りと美しさを備えた花として、古今東西の文化や神話において特別な象徴性を担ってきた。愛と美の女神に捧げられた神聖な花として、また死と再生、秘儀と神秘の象徴としても語られてきたバラのイメージは、単なる観賞用の植物を超え、人間の魂の深層や霊的探求の道を照らしてきた。本記事では、日本・東洋・西洋におけるバラの象徴的意味を読み解きながら、タロットや夢解釈における実占的な示唆にまで踏み込んで探求していく。
日本における文化・思想・神話による捉え方
日本においてバラは、古来より自生していたが、文化的象徴としての位置づけは限定的であった。『万葉集』や『古今和歌集』などの古典文学には、バラに関する直接的な言及は少なく、むしろ桜や梅、菊といった花々が詠まれている。これは、バラが日本の風土や季節感に馴染みにくかったためと考えられる。
しかし、明治時代以降の西洋文化の流入により、バラは次第に日本の園芸や文学、芸術に取り入れられるようになった。特に大正から昭和初期にかけては、バラを題材とした詩歌や絵画が増加し、愛や美の象徴としての認識が広まった。また、バラの花言葉や色彩による象徴性も、西洋の影響を受けて日本に定着していった。
東洋文化・思想・神話による捉え方(日本以外)
中国においてバラは、古代より薬用植物として利用されてきた。特に「玫瑰(まいかい)」と呼ばれるバラの一種は、香料や薬膳に用いられ、健康や美容の象徴とされている。また、詩歌においてもバラは愛や美の象徴として詠まれることがあり、唐代の詩人たちはその香りや美しさを讃えている。
イスラム文化圏では、バラは宗教的象徴として重要な位置を占める。白バラは預言者ムハンマドを、赤バラは神アッラーを象徴するとされ、『ルバイヤート』などの詩集にもバラに関する記述が見られる。これらの文化において、バラは神聖性や愛、美の象徴として広く認識されている。
西洋の文化・思想・神話による捉え方
西洋においてバラは、古代ギリシア・ローマ時代から愛と美の象徴とされてきた。ギリシア神話では、愛と美の女神アフロディーテが海の泡から生まれた際、バラも同時に誕生したとされる。また、アフロディーテが恋人アドニスを救おうとして足に怪我をし、その血が白いバラを赤く染めたという伝説もある 。
中世キリスト教においては、赤いバラはキリストの受難や殉教の血を、白いバラは聖母マリアの純潔を象徴する。また、バラは神秘主義思想とも結びつき、薔薇十字団などの象徴としても用いられた 。
象徴から読み解くバラ スピリチュアル メッセージ
バラは、その美しさと香りから愛や美の象徴とされる一方で、棘を持つことから痛みや危険の象徴ともなる。赤いバラは情熱的な愛や欲望を、白いバラは純粋な愛や無垢を、黄色いバラは友情や嫉妬を、青いバラは神秘や不可能を象徴する。このように、バラは色や形状によって多様な意味を持ち、文化や文脈によって解釈が変化する象徴である。
占断に用いる際の考察
タロット関係
タロットカードにおいて、バラは重要な象徴として描かれている。例えば、「愚者」のカードには白いバラが描かれており、これは純粋さや無垢、精神的な始まりを象徴する 。「魔術師」のカードには赤いバラと白いユリが描かれ、赤は情熱や行動力、白は純粋さや精神性を表す 。
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運気との関係
愛情運・魅力運・創造運を刺激する象徴。
バラは、占断において主に愛情運を象徴するシンボルとして最も多く用いられる。特に赤いバラは、情熱的な恋愛の到来、あるいはすでに芽生えている深い愛情関係の進展を示すことが多い。ピンクのバラは、優しさや共感に裏打ちされた温かい関係性を表し、人間関係の調和や信頼運と結びつく。
また、バラのもつ美と感性の象徴性は、魅力運にも深く関係する。人からの好感や注目を集めたいとき、あるいは芸術的な自己表現を行うタイミングで、バラのモチーフは開花や発展の兆しを知らせるシンボルとして現れやすい。
さらに、バラの花がつぼみから咲ききるプロセスは、創造的プロジェクトや精神的成長の進行と照応することもあり、創造運の高まりや自己実現への道筋を示す予兆として現れることもある。
そのため、占断においてバラの象徴が強調されるときは、「愛すること」「美を育むこと」「自分を表現すること」を恐れずに進むことが、全体的な運気の流れをよくする鍵となる。
夢分析に用いる例
バラの夢は、愛情や感情の状態を映し出す鏡である。夢に現れるバラの色や状態は、現在の心の在り方や対人関係の状況を示しており、それを通じて自己理解や未来への指針を得ることができる。
- 赤いバラの夢:情熱的な恋愛や愛情の高まりを象徴する。新たな恋の始まりや、既存の関係の深化を示す。
- 白いバラの夢:純粋な愛や精神的なつながりを象徴する。プラトニックな関係や、心の平穏を求める気持ちを表す。
- 黄色いバラの夢:友情や嫉妬、裏切りを象徴する。人間関係における注意や、感情の揺れ動きを示す。
- 青いバラの夢:神秘や不可能、理想を象徴する。達成困難な目標や、憧れの存在への思いを表す。
- 枯れたバラの夢:愛情の終わりや失恋、希望の喪失を象徴する。感情の整理や、新たな始まりへの準備を示す。
花びらの奥に隠された鍵
バラは、目に見える美しさとともに、内に秘められた神秘を象徴する花である。棘は痛みを、花弁は愛を、そして蕾や香りは未開の可能性と内なる啓示を示す。日本においては西洋由来の象徴として後から取り入れられた要素が多いが、現代では個人的な感情の表現手段としても広く受け入れられている。占いや夢においてもバラの現れは意味深く、愛、自己の変容、霊的目覚めといったテーマを映し出す。バラを読み解くことは、内なる美と痛みの本質に向き合うことでもある。
記事)小鳥遊
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